午前中の仕事や家事を終えた昼の時間。お腹も満たされ、ほっと一息つくはずなのに、気づけば「眠くて頭が回らない」「疲れがどっと出る」「午後は集中できない」と感じたことはありませんか?
実は、昼の時間帯は心と体のリズムが大きく変わるタイミングです。
そのため、意識的にセルフケアを取り入れるかどうかで、午後の過ごし方が大きく左右されます。
朝と夜のルーティンが1日全体を支えるなら、昼のセルフケアは“午後のエンジンをかけ直す”ための時間。
今回は、忙しい人でもすぐに実践できる「昼のセルフケア習慣」を5つご紹介します。
- 昼の時間帯にセルフケアが必要な理由
- 午後の集中力を取り戻す具体的な方法
- 職場や学校でも実践できる簡単な習慣
- セルフケアを継続するための工夫
昼にセルフケアが必要な理由

1. 午前中の疲れがピークに達する
人間の集中力は朝から少しずつ低下していきます。これは脳のエネルギー源であるブドウ糖の消費や、情報処理で疲労が蓄積することが大きな原因です。
特に午前中に頭を使う作業や人間関係での気疲れが多い人は、昼の時間には「エネルギー切れ」を感じやすくなります。
心理学では「意思決定の疲労(Decision Fatigue)」と呼ばれる現象があり、午前中に多くの判断や選択をした人ほど、昼以降に集中力が落ちやすいことが分かっています。
たとえば、会議やメール対応、タスクの優先順位付けなどは知らず知らずのうちに脳のリソースを消耗させています。
さらに、体内時計(サーカディアンリズム)の影響で、昼過ぎには自然と覚醒度が下がり、副交感神経が優位になりやすい傾向があります。これは「眠気」や「ぼんやり感」として現れるため、昼の時間帯にリセットをかけるセルフケアが欠かせないのです。
2. 昼食後の眠気
お昼ごはんを食べた後に「急に眠くなって集中できない…」という経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。これは単なる「食べ過ぎ」ではなく、体の仕組みが関係しています。
食事をすると、炭水化物が分解されて血液中にブドウ糖が一気に増えます(血糖値の急上昇)。
すると、体は血糖値を下げようとしてインスリンというホルモンを分泌します。この働きで血糖値は下がるのですが、急激に下がりすぎると「血糖値スパイク」と呼ばれる状態になり、結果として強い眠気やだるさがやってくるのです。
つまり、食後に訪れる「眠気の波」は、体が血糖値を調整するための自然な反応。
医学的にはこれを「食後低血糖」と呼ぶこともあります。特に白米やパン、甘いデザートなど糖質を一気にとる食事ではこの現象が起きやすくなります。
反対に、食事に野菜やタンパク質を一緒にとり入れることで血糖値の上昇を緩やかにでき、眠気の強さを和らげることができます。たとえば「野菜サラダを先に食べる」「ご飯は少なめにして魚や豆腐を増やす」といった工夫だけでも午後のパフォーマンスに大きな違いが出るのです。
3. 自律神経のバランスが乱れる
人の体は、体内時計(サーカディアンリズム)の働きによって、昼過ぎになると自然に副交感神経が優位になりやすくなります。副交感神経は「休息の神経」とも呼ばれ、心拍数や血圧を下げて体をリラックスモードに導く役割があります。
そのため、昼の時間帯はどうしても「眠い」「だるい」「集中できない」という状態になりやすいのです。これは怠けているわけでも、根性が足りないわけでもなく、人間の体に備わった自然なリズム。むしろ「休みたくなる」のは体からのサインだと考えるべきです。
ただし、このリズムに逆らって無理に作業を続けてしまうと、脳は効率を落とし、同じ仕事に余計な時間がかかってしまいます。結果として「午後はだらだらしてしまった…」という悪循環に陥るのです。
これらをそのまま放置すると、午後の時間が“だらだらモード”になってしまいます。そこで役立つのが昼のセルフケアです。
昼におすすめのセルフケア習慣5選

① 昼食後の軽いストレッチ
長時間同じ姿勢でいると、筋肉がこわばり、血流が滞ることで脳への酸素や栄養の供給が減少してしまいます。その結果、頭がぼんやりして集中力が低下しやすくなるのです。
そこで役立つのが「ストレッチ」。体を大きく動かすことで筋肉がほぐれ、血液の流れがスムーズになり、脳もリフレッシュされます。
特におすすめなのは、
- 背伸びをして胸を開く(呼吸が深くなり頭がすっきり)
- 肩を回して肩甲骨を動かす(デスクワークの疲れ解消に効果的)
- 座ったまま腰をひねる(内臓が刺激され、消化の助けにもなる)
ほんの2〜3分のストレッチでも体と心に違いを感じられるはずです。
② 深呼吸や1分瞑想

昼に取り入れたい最もシンプルなセルフケア。ポイントは「呼吸に意識を向けること」です。
やり方は簡単です。
- 背筋を伸ばして座る
- 4秒かけて鼻から息を吸う
- 4秒息を止める
- 8秒かけて口から息を吐く
これを3回繰り返すだけでも、自律神経の乱れが整い、不安や緊張感がやわらぎます。
最近はマインドフルネスとしても注目され、GoogleやAppleなど大手企業でも導入されています。
③ 軽い散歩(外に出る)

昼休みに5〜10分だけでも外へ出ると、驚くほど気分が切り替わります。
太陽光を浴びると「セロトニン」という脳内物質が分泌され、気持ちが前向きになりやすくなることが知られています。
また、外気に触れることで自律神経がリセットされ、頭の重さやだるさが軽くなる効果も。さらに、緑や自然を目にするだけで脳疲労が回復するという「森林浴効果」が科学的にも確認されています。
特にデスクワークで長時間屋内にいる人にとって、この短い外出はまさに「心と体のスイッチを切り替える時間」。
- コンビニに行くときに少し遠回りする
- 建物の外階段を使って景色を変える
- 日陰でも構わないので外の空気を吸う
といった小さな工夫で十分です。たった数分でも、外に出るだけで心と体の状態は大きく変わります。
④ 水分補給とカフェイン調整

「昼にだるい」と感じる原因の一つが水分不足です。
人は呼吸や汗、尿などを通じて、1日でおよそ 2.5ℓの水分 を失っていると言われます。特にデスクワークや冷房の効いた環境では、気づかないうちに体内の水分が減っていき、軽い脱水状態になりがちです。
軽度の脱水でも、脳への血流が低下して集中力や記憶力が下がることが研究で確認されています。つまり「頭がぼんやりする」「体がだるい」という感覚は、単なる疲れではなく、水分不足のサインかもしれません。
そこでおすすめなのが、以下の工夫です。
- こまめに常温の水を飲む(一度にたくさん飲むより、少しずつ分けて摂る方が効果的)
- 甘い飲み物ではなく白湯やお茶を選ぶ(砂糖入りの飲み物は血糖値を乱し、余計にだるさを招くことも)
- カフェインは午後3時までに(遅い時間のコーヒーや紅茶は、夜の睡眠の質を下げてしまう可能性あり)
水分補給は単なる喉の渇き対策ではなく、脳と体のメンテナンスそのもの。ペットボトルやマグボトルを机の横に置くだけで、「気づいたら飲む」習慣がつきやすくなります。
水分補給では、カフェインのとりすぎを避けるためにカフェインレスコーヒーやハーブティーを取り入れるのもおすすめです。
選ぶポイントは「香りが好みであること」「リラックス効果のあるハーブが含まれていること」です。
人気のカフェインレス飲料をチェック(楽天)
⑤ 仮眠・パワーナップ(10〜20分)

昼のセルフケアの王道は「お昼寝」です。中でもおすすめなのが「パワーナップ」と呼ばれる方法。これは10〜20分程度の短い仮眠を意識的にとることで、脳をリフレッシュさせ、午後の集中力を高める習慣のことです。
NASAの研究では、26分の仮眠によってパフォーマンスが34%、注意力が54%向上したというデータもあります。つまり、ただの休憩ではなく「戦略的なお昼寝」が午後の生産性を大きく変えるのです。
パワーナップのポイントは次の通りです。
- 10〜20分以内にとどめる(深い眠りに入らないため)
- 横になれない場合は椅子にもたれて目を閉じるだけでもOK
- 仮眠前にコーヒーを飲むと、起きるころにカフェインが効いて頭が冴える
ただし、30分以上眠ってしまうと深い睡眠に入りやすく、逆にだるさが残ってしまうので注意が必要です。
シーン別・パワーナップの取り入れ方
- オフィスの場合
-
会議室や休憩スペースで10分だけ横になるのが理想ですが、難しい場合はデスクで腕を枕にして目を閉じるだけでもOK。イヤホンで静かな音楽を流すと周囲の雑音を遮れます。
- 在宅ワークの場合
-
ソファやベッドで短時間横になるのが最も効果的。アラームを必ず20分以内に設定し、ブランケットで軽く体を覆うとリラックスしやすくなります。
- 学校や自習の合間の場合
-
教室や図書館では横になれないことが多いので、机に伏せて目を閉じるだけでも効果があります。5分〜10分でも脳をリセットできるので、午後の学習効率が上がります。
まとめると、パワーナップは「時間と環境を工夫すれば誰でもできる短い仮眠」です。ほんの10分でも午後の頭の冴え方が全く変わるので、ぜひ自分の生活に合った方法を試してみてください。
短時間の仮眠を快適にするためには、環境を整えることも大切です。
特に光や音を遮るアイマスクや耳栓は手軽で効果的なアイテムです。
選ぶ際は「軽量で肌に優しい素材」「遮光性の高さ」などをチェックすると安心です。
アイマスクのおすすめ商品はこちら(Amazon)
セルフケアを続けるためのコツ

「体にいいことだと分かっているのに、なかなか続かない…」そんな悩みを抱える人は多いのではないでしょうか。セルフケアも同じで、やる気がある日だけ実践して、忙しい日にはつい後回しにしてしまうこともありますよね。
そこで、無理なく習慣にしていくための工夫をご紹介します。
- 最初は1つだけに絞る
「今日は散歩だけ」「今日は深呼吸だけ」といったように、小さく始めるのがコツです。いきなり全部やろうとすると負担になり、続かなくなってしまいます。 - トリガー(きっかけ)を決める
「昼食後にストレッチする」「コーヒーを飲む前に深呼吸する」といったように、日常の行動にセルフケアを組み込むと習慣化しやすくなります。 - 小さなご褒美を用意する
「セルフケアができたらお気に入りのお茶を飲む」「好きな音楽を流す」といったご褒美をセットにすると、楽しみながら続けられます。
セルフケアは「やらなきゃ」ではなく、「やると気持ちいいから自然とやりたくなる」という感覚を大切にしましょう。その方が長く続き、効果を実感しやすくなります。
まとめ
昼は、午前の疲れを回復させ、午後に向けて心と体を整えるための大切な時間。
ここで少しセルフケアを取り入れるだけで、午後の生産性や気分が大きく変わります。
- ストレッチで体をほぐす
- 深呼吸や瞑想で心を整える
- 外に出て太陽を浴びる
- 水分補給で脳をリフレッシュ
- 短い仮眠で頭をリセット
ぜひ、自分に合う方法を1つから始めてみてください。
そして「朝のセルフケア」「夜のセルフケア」と合わせて生活に取り入れることで、1日を通して心と体のバランスが整い、より健やかに過ごせるようになりますよ。



